The Philosophy of WaLa

AI時代、人間に残るもの

なぜいま、内省が問われるのか

01The End of Answers

答えを出す仕事は、もう人間のものではない

この十数年、私は経営者やリーダーと「内省」の場をともにしてきた。そこでいつも突き当たる問いがある。「あなたは何を大切にしているのか」。この問いに、即答できる人はほとんどいない。

長いあいだ、それでも問題はなかった。優秀さとは、与えられた問いに正しく答えることだったからだ。だが、AIが「答えを出す」役割を引き受けはじめたいま、自分の世界の基盤をどこに置くのか——この問いは、極めて重要になりつつある。

ここ数年で、私たちは奇妙な事実に気づきはじめた。調べること、まとめること、選択肢を並べること、正しい手順を示すこと。かつて「優秀さ」と呼ばれたものの多くを、AIは人間より速く、安く、正確にこなす。これは事実だ。そしてこの事実は、これから五年、十年とかけて、社会のあらゆる職場に静かに浸透していく。

すると、ひとつの問いが残る。

答えを出すことが人間の仕事でなくなったとき、
人間に残るのは何か。

この問いは、まだ多くの人にとって他人事だろう。けれど遠からず、誰もが自分の問題として抱えることになる。私たちは、その問いの入り口に立っている。

02What Remains

残るのは「問い」と「哲学」だ

結論から言う。AIに渡せないものは、二つしかない。

01

どの問いを立てるか

何を解くべきかを決める、価値判断。これは人間の領域に残っている。何に意味を感じるか——意味とは、主体と客体の関係性そのものだからだ。

02

自分自身の哲学

その判断を支えるもの。なぜそれを大事だと思うのか。何のために働き、どう在りたいのか。AIは答えを持てない。それは情報ではなく、その人がその人である理由だからだ。

「哲学」という言葉に身構える必要はない。難解な書物でも、歴代の哲学者が何を言ったかでもない。自分が何を大切にし、何を選ばないかを、自分の言葉で語れること。ただ、それだけを指している。

03Untrained

哲学を持つ訓練を受けてきていない

そして厄介なのは、ほとんどの人がこれを持っていない、ということだ。

私たちは長いあいだ、「答えを正しく出す」ことを訓練されてきた。学校でも、会社でも。与えられた問いに、用意された正解を、速く返す。その能力で評価されてきた。

自分の問いを立てる筋肉を、
誰も鍛えてこなかった。

自分の哲学を言葉にする訓練も、受けてこなかった。だから多くの人は、いざ「あなたは何を大切にしているのか」と問われると、借り物の言葉で答えるか、沈黙する。冒頭の、あの沈黙だ。

これは個人の怠慢ではない。時代がそれを求めてこなかった、というだけのことだ。けれど、時代は変わった。

04Beyond Control

組織は、もう人を動かせない

この変化は、組織のかたちにも現れている。

かつて組織は、命令と統制——Command & Control——で動いていた。上が決め、下が従う。明確な目標、明確な報酬、明確な罰。それで人は動いた。だが今、その方式は、あちこちで軋みはじめている。

これまで
命令と統制
Command & Control。報酬・評価・恐れという、外から与える動機。答えを出す仕事には、よく効いた。
これから
内発的動機
問いを立て、哲学を持つ仕事に効くのは、内から湧く動機だけ。命令された主体性は、もはや主体性ではない。

人を動かす源泉が、外から内へ移っている。これは流行ではなく、仕事の質が変わったことの必然的な帰結だ。組織がこれから本当に必要とするのは、管理できる人材ではなく、自分の哲学を持って動く人なのだ。

05The Practice

では、哲学はどうやって持つのか

ここまでは、多くの人がうすうす感じていることかもしれない。問題は、その先にある。

「自分の哲学を持て」と言うのは易しい。だが、どうやって。哲学は、生まれつきの才能でも、偉人の言葉を暗記することでもない。それは、自分の内側を見る——内省の、型を学ぶことで育つ。

筋トレに型があるように、内省にも型がある。これらは、誰もが学べる技術だ。才能の問題ではない。

01

自分の感情の動きを観察する型

02

判断の前提を疑う型

03

問いを立て直す型

04

何に反応し、何を避けているかを見つめる型

私はこの十数年、経営者やリーダーとともに、その型を磨いてきた。内省を、個人の気質や偶然に任せず、学べるものとして体系化する。それを、WaLaの哲学と呼んでいる。

方法論 哲学体系 考えを共有する場

だが、いちばん簡単に言えば、こうだ。

内省の型を学ぶこと。
それが、自分の哲学を持つということ。
06For Organizations

組織に、内省を置く

ここまで、個人の話として読んできたかもしれない。けれど、これは組織の話でもある。

内発的動機が問われはじめた職場では、よく似た風景が見られる。制度や号令では、もう届かない領域がある、ということだ。

01

指示は実行される。だが、自ら問いを立てる人がいない。決められたことの外側で、誰も動かない。

02

施策は増えるのに、現場の熱は上がらない。動機が、いつまでも外付けのままだからだ。

03

「主体性を持て」と号令しても、号令である限り、主体性は育たない。この矛盾に、多くの組織が立ち止まっている。

WaLaがするのは、ここに内省の型を持ち込むことだ。一人ひとりが自分の哲学から動けるように、その共通言語と、語り合える場を組織のなかに育てる。制度で締めつけるのではなく、内発が育つ土壌を、リーダーとともに耕していく。

管理によって人を動かす時代から、一人ひとりが自分の哲学を持って動く組織へ。その移行を、内省の型という具体的な技術で支える。それが、組織にとってのWaLaだ。

For Organizations

組織での導入について

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Quietly placed here

静かに置いておく

AI時代に、内発性が問われる——この認識は、これからゆっくりと、しかし確実に広がっていく。私は、その流れの先回りをして騒ぎ立てるつもりはない。

もし、あなたがいま「答えを出すこと」ではなく「自分にとって大事な問いを考えたい」と感じているなら。あるいは、あなたの組織が、命令ではない別の動かし方を探しているなら。WaLaの哲学は、まさにそのための思考の道具を揃えるものだ。扉の前から、覗いてみるといい。

WaLaの哲学とは何かは、公式サイトに置いてある。無料のオリエンテーションでは、その「型」の一端に、実際に触れられる。

参考リンク